子どもの健康増進を担うということが小児科医にとっての仕事です。言い換えれば様々な形で子どもの病気を予防する仕事をしています。
また、子育て支援も小児科医の大きな仕事と考えられます。クリニック開業から15年経ち、貝塚市の出生数も3割減となる少子化の時代ですが、先に述べた仕事の重要性は大きくなっていると思われます。
ここ10年ほどの間に予防接種の制度が大きく変わり、ヒブワクチン、小児用肺炎球菌ワクチン(プレベナー)、ヒトパピローマワクチン(子宮頸癌予防)、水痘ワクチン、高齢者用肺炎球菌ワクチン、B型肝炎ワクチンが定期接種となりました。
おたふくかぜ、ロタなども今後いずれは予防接種法に組み込まれていく方向性です。
そういう状況の中、予防接種の意義・制度変更の意味を充分に保護者に伝えて行くのも私たちの大事な仕事です。
病気が減ってくるとワクチンを打つ際の副作用ばかり気になりますが、接種率が下がるとその病気が再び猛威をふるうこともあるからです。
耐性菌の問題もしかりです。日常の診療の中での不必要な抗生剤の処方や漫然とした抗生剤の処方も、
長い目で見れば子どもの生命を脅かす耐性菌の増加をもたらします。
抗菌薬の過剰投与がアレルギー性疾患の増加につながっているという研究もあります。
そういったことから適正な抗菌薬使用を心がけています。
喘息や乳幼児突然死症候群の誘発因子となっている家族の喫煙者に対して、
あるいは小中学生の喫煙者に対しての禁煙支援も小児の健康増進につながりますし、
肥満の予防や治療なども含め、現在だけでなく将来にわたる疾病予防ということを考えています。
| 病児保育も始めてから10年目となります。病児保育は、発熱や流行性疾患のために保育所通所ができない児などをお預かりするものです。 当初は貝塚市内保育所通所児のみを対象としていましたが、学童保育児や、熊取町や岸和田市など市外に住む児童までもカバーするようになりました。
府立母子医療センターなどから地域へ帰ってくる在宅医療の必要な小児に対するサポートも始めています。 その他、低身長・思春期早発症などの相談・治療(成長ホルモン投与他)、公費負担期間を過ぎた予防接種について任意接種での対応、
海外赴任予定者の家族に対する予防接種(ワクチン)について相談・接種も広い意味での「子育て支援」と考え取り組んでいます。
日本外来小児科学会、大阪小児科医会、日本小児科医会、貝塚市医師会、大阪府医師会、全国病児保育協議会においてもいろいろな会務に取り組む中で
子どもの健康増進につながるいろいろな社会的な活動に参加しています。
泉州北部小児救急広域センターへの出務、市内外の小学校、幼稚園、保育所の校医園医など、学校保健会や保健所での講演会もそういったものの一つです。
そしてこういったクリニック外での活動もまたクリニックに受診される子どもにフィードバックしていきます。
今後も微力ですが、地元に立脚した活動を続けていきたいと考えていますので、よろしくお願い申し上げます。
平成31年1月1日 院長 川崎康寛
|